はじめに
「け」という文字は、平安時代に考案されたひらがなと、それ以前から存在していたカタカナの両方に由来があります。ひらがなの「け」は漢字「計」を簡略化したものであり、カタカナの「ケ」は漢字「介」の一部を取り入れて作られました。
『け』の歴史
「け」の文字は、日本語の発展とともに変化してきました。
平安時代初期、漢字の草書体から「け」のひらがなが生まれました。一方、カタカナの「ケ」は奈良時代末期から平安時代初期にかけて、漢字の一部を省略して作られたとされています。
特筆すべきは、助数詞や連体助詞「が」として使用される「ヶ」の存在です。この「ヶ」は、カタカナの「ケ」とは異なる由来を持ち、「箇」または「个」の略字とされています。「个」は「介」の略体に由来するという説もありますが、『説文解字』での解釈は誤りとされています。
近世以前では、「ヶ」は指示語として「箇」「个」の代用として使用されていましたが、現代文ではこの用法はほとんど見られません。
戦後、公用文や教科書などでは、固有名詞を除き、「ヶ」の代わりに平仮名の「か」で統一して使用されることが一般的となりました。これは、「け」と誤読されることを避けるためとも考えられます。
現在では、「ヶ」は主に地名を表す固有名詞の中で連体助詞「が」の代わりに用いられたり、助数詞「箇」「個」の代わりに使用されたりしています。例えば、「3ヶ月」「4ヶ所」などの表現で見られます。
このように、「け」の文字は、単なる音を表す記号から、特定の文脈で特別な意味を持つ文字へと、その役割を拡大させながら日本語の中で独自の位置を占めるようになりました。
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