はじめに
「も」 という文字は、漢字の「毛」から派生したとされ、その書き順は多くの人が思い込んでいるものとは異なります。正しくは「し」に似た縦線から始まり、その後に横線が続くという、意外な順序で書かれるのです。
『も』の歴史
ひらがなの「も」は、日本の文字体系の発展過程において重要な役割を果たしてきました。
「も」の起源は、中国から伝来した漢字「毛」にさかのぼります。9世紀頃、日本の貴族たちが漢字を簡略化して日本語の音を表す文字として使い始めたのが、ひらがなの始まりでした。
「も」を含むひらがなは、当初は私的なやりとりに使用されていました。公的な文書では依然として漢字が使われており、ひらがなで書かれた文書には年月日や書き手の名前が記されていないものがほとんどでした。これは、ひらがなが非公式な文字として扱われていたことを示しています。
平安時代（794-1185年）に入ると、ひらがなの使用が徐々に広がり、その字形も確立されていきました。11世紀頃には、現在我々が知っているような「も」の形が定着したと考えられています。
興味深いことに、「も」の書き順は多くの人が誤って覚えている文字の一つです。
正しい書き順は「し」に似た縦線から始まり、その後に横線が続きます。この書き順の誤りは、子どもの頃に覚えた習慣を大人になって修正することの難しさを示しています。
ひらがなの「も」を含む仮名文字の発明は、日本文化の発展において革命的な出来事でした。それまで漢字のみを使用していた日本人にとって、自国の言葉をより自由に表現できる文字の誕生は、文学や日常のコミュニケーションに大きな影響を与えました。
現代では、「も」を含むひらがなは日本語の基本的な文字として広く使用されています。小学校入学時に最初に学ぶ文字の一つであり、すべての学習の基礎となっています。しかし、その正しい書き方や成り立ちを知ることは、日本語の歴史と文化への理解を深める上で重要な意味を持っています。
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